こじん・はっしん「ブツ草」

●日本語の表現・作文技術に関心があります。特に、分かりやすさ=一回読めば意が通じることが最重点です。気になった新聞記事を検証します。 ●読み散らした本を紹介します。 ●できればジジ評なども。
 
2008/09/23 13:41:39|一読通意 
一読通意の作文修業:朝日新聞朝刊記事から
※一読して意味が読み取れない・読み取りにくい文章を検討します。朝日新聞に限定しているのは、筆者が1紙しか読んでいないためです。あしからず。 月または火曜日更新予定。 
 
  ≪9/23更新≫
 
 ●本日の文例:「大関転落後に横綱になったただ一人の力士となる。」(<猛げいこと厳格指導 新理事長>、08年9月9日)
 大相撲の歴史が閉幕したような文章で、将来への含みがない。「となる」が不要。
 「大関転落後に横綱になったただ一人の力士」
 または、「ただ一人」を「史上初」と言い換える。
 「大関転落後に横綱になった史上初の力士となる」
 
 ●本日の文例:「熱い物を食べた時やタマネギを切った時の涙は、刺激性の涙なんだね。風邪の時は涙の通り道がつまるからでごザル。」(<疑問解決モンジロー 涙はなぜ流れるの>、08年9月8日)
 後段の文章が意味不明。「涙」ではないとすれば何かなと思って、改めて質問文を読み返すと、「風邪をひいた時に出る涙や鼻水は」とある。それでやっと「鼻水」と理解した。不親切な文。ちょっと手を入れればよかったのに。
 「風邪の時は涙の通り道がつまるから鼻水になるのでごザル」
 
 ●本日の文例:「老いの衰えは経験と訓練で償えるか」(<読書、■生涯発達のダイナミクス 知の多様性 生き方の可塑性、評>、08年9月7日)
 書評を云々するのはお門違いの気もするが、感じてしまったものは仕方がない。「償えるか」に引っ掛かった。「老いの衰え」は償うものなのか。普通は「補う」だろう。
 「償う」を広辞苑で引くと、『「つぐのう」に同じ。「損失を−・う」「罪を−・う」』とある。「つぐのう」は、『財物を出し、あるいは労働して、恩恵に報い、また責任や罪科をまぬがれる。うめあわせる。賠償する。』。
 「老いの衰え」は「責任や罪科を」問われるような性格のものではあるまい。「うめあわせる」はまだいい。「賠償」もハテナ。
 やっぱり「老いの衰えは経験と訓練で補えるか」が分かりやすい。書評を読む限り常識的な内容のようだから、見出しを変にひねることもない。
 
 ●本日の文例:「iPS細胞は作り方によって細胞の特徴が異なることがわかってきており、国内の製薬業界もiPS細胞を使った研究には及び腰だ。」(<iPS細胞研究 がん解明に活用 文科省など、支援費計上 来年度概算要求>、08年9月5日)
 順接でつながっているのに、「及び腰だ」という否定的な述語なので戸惑った。また、「製薬業界も」の「も」にも引っ掛かった。「わかってきており」の後に「…のため」という説明が必要だ。
 「iPS細胞は作り方によって細胞の特徴が異なることがわかってきており、まだ「標準化」されていないため、国内の製薬業界もiPS細胞を使った研究には及び腰だ。」
 
 ●本日の文例:「2日制対局も、カメラの大放列も、前夜祭での決意表明も、すべてが19歳の井山にとっては初めてなのだ。」(<第33期名人戦 七番勝負 第1局第1譜>、08年9月5日)
 読点は1つあればよい。
 「2日制対局もカメラの大放列も前夜祭での決意表明もすべてが、19歳の井山にとっては初めてなのだ」
 また、「すべては」「初めて」に掛かるので移動してもよい。
 「2日制対局もカメラの大放列も前夜祭での決意表明も、19歳の井山にとってはすべてが初めてなのだ」
 
  ≪9/15更新≫
 
 ●本日の文例:「1944(昭和19)年6月。埼玉、神奈川、静岡、福島の看護婦で編成された「本部301班」の交代要員らは、敗色が迫るフィリピン・マニラの病院に派遣された。」(<爆撃 飢え 白衣の苦悩 第2次大戦中の日赤報告書>、08年8月31日)
 「敗色が迫る」に引っ掛かった。色は濃淡で表現するのが常識。詩的表現として「色が迫る」というのはあり得るかもしれないが、それは「色」についての説明が必要になろう。
 「敗色が濃厚なフィリピン・マニラの病院に派遣された」
 「迫る」という表現を使いたいなら、「敗北」「危機」か? 本文には「戦況悪化」という文字もある。「44年6月」だと、敗戦まで1年ある。「敗北」とは言いにくいか。「敗勢」もいまいち。本文にもある「転進」という旧軍用語を使うか。
 「「転進」迫るフィリピン・マニラの病院に派遣された。」
 
 ●本日の文例:「90年代後半の小渕政権が「恒久的な減税」として実施した所得税・住民税を一定の比率で軽減する「定率減税」も07年には廃止に踏み切った。」(<税を問う 省庁、減税案ずらり 景気優先 与党と歩調>、08年8月30日)
 「実施した」が直後の「所得税・住民税」に掛かってしまい、一気に読めなかった。読点が必要だ。
 「90年代後半の小渕政権が「恒久的な減税」として実施した、所得税・住民税を一定の比率で軽減する「定率減税」も07年には廃止に踏み切った。」
 
 ●本日の文例:「しかし、05年には中央省庁のウェブサーバーに大量のデータを送りつけるなどして、接続が一時困難になった。」(ビジネス用語辞典 IT編 サイバーテロ>、08年8月27日)
 「送りつける」に対応する主語がない。全体を統一するなら受動態にする。
 「中央省庁のウェブサーバーに大量のデータを送りつけられるなどして、接続が一時困難になった」
 
 ●本日の文例:「90年にロシア編入を主張する南オセアチア自治州、92年には主権宣言したアブハジア自治共和国と紛争になった。」(<キーワード 南オセアチア自治州とアブハジア自治共和国>、08年8月27日)
 「90年に」「92年には」はともに「紛争になった」に掛かる。しかし、「主張する」「主権宣言した」という動詞とも親和性があるため、どっちかなと考えながら読むことになった。「いつ」を明確にするのはいいが、必ずしも前方にある必要はない。
 「ロシア編入を主張する南オセアチア自治州とは90年に、主権宣言したアブハジア自治共和国とは92年に紛争になった」
 
 ●本日の文例:「映画は、今年5月に亡くなった外与子さんが、やはり筋ジス患者だった長男の寛之さん、次男の秀人さん(ともに故人)、三男の富也さんを育て上げた軌跡を追う。」(<筋ジス患者の母描く新映画 ありのまま舎 上映会の開催者募集>、08年8月26日)
 「やはり筋ジス患者だった」がどこまで掛かるのか分かりにくい。「貧しくても幸せそうな終戦直後の新婚生活から一転、3人の子どもたちの不治の病がわかり、苦難が始まる。」と続くので、分かった。
 「やはり筋ジス患者だった」が3人に掛かるのなら読点を入れ、さらに、3人を並列に扱う工夫も必要だった。例えば、
 「やはり筋ジス患者だった、長男の寛之さん・次男の秀人さん(ともに故人)・三男の富也さんを育て上げた軌跡を追う」
 または、文字を追加する。
 「やはり筋ジス患者だった3人の子ども、長男の寛之さん、次男の秀人さん(ともに故人)、三男の富也さんを育て上げた軌跡を追う。」
 
 ●本日の文例:「一発逆転の、手品はない。」(<天声人語>、08年8月26日)
 読点がなくとも十分意味は通じる。
 「一発逆転の手品はない。」
 読点は強調を意味しているのだろう。だが、何か引っ掛かる。「一発逆転の」は「手品」に掛かるのだから、読点を使うのなら主格で切った方がより分かりやすいのではないか。
 「一発逆転の手品は、ない。」
 
 ●本日の文例:「3種目すべて世界新で優勝したのは過去に例がなかった。」(<「初」の8冠・世界新3冠>、08年8月25日)
 「なかった」ではなく、「ない」だ。「なかった」とすると、今回それを破ったという意味が含まれよう。
 「3種目すべて世界新で優勝したのは過去に例がない」
 
  ≪9/8更新≫
 
 ●本日の文例:「これまで述べてきたように、性格や知能のようなものが人間の中にあって私たちを動かしているわけではないということに尽きる。」(<心体観測 常識ずらしの心理学F>、08年8月24日)
 「尽きる」を使うなら、「種々述べてきたが」と逆接が必要。文例のような順接なら「尽きる」は不要。
 「これまで述べてきたように、性格や知能のようなものが人間の中にあって私たちを動かしているわけではない」
 
 ●本日の文例:「…銅メダルをとった日本ペアの前の監督は井村雅代さん(58)。今は4位だった中国のヘッドコーチだ。」(<井村イズム共有「限界挑戦」「体当たり」 日中同門次の高みへ シンクロ>、08年8月21日)
 「今は4位だった」に違和感。「今は」は「ヘッドコーチだ」に掛かる。こういうときは読点を入れる。
 「今は、4位だった中国のヘッドコーチだ」
 「前の監督」との対比で「今の」を使っているのだが、「現」にする方が分かりやすい。
 「…銅メダルをとった日本ペアの前監督は井村雅代さん(58)。4位だった中国の現ヘッドコーチだ」
 
 ●本日の文例:「解散含みの臨時国会が迫り、衆院選マニフェストの詰めを急ぎたいが、代表選での議論を縛るような決定は難しい。そんな事情から苦肉の策で開かれたこの日の討議も空回り気味。」(<マニフェスト作成が足踏み 民主「次の内閣」>、08年8月20日)
 「苦肉の策で」が理解不能。記事中に説明なし。「そんな事情」があるなら、予定されていた会合を代表選後に延期するのが「苦肉の策」だが。
 「そんな事情からこの日の討議も空回り気味」
 
 ●本日の文例:「常葉菊川 本能の美技」(<第90回全国高校野球選手権記念大会>、08年8月18日)
 「本能の美技」という見出しに愕然。見開きページの「大阪桐蔭 約束の美学」に応じた見出しで格好いいと思ったんだろうか? 「本能」で野球をやっているのか? 「本能」で打球を捕れるのか? 練習と連携の賜物だろう。こういう見出しは勘弁して。
 
  ≪9/1更新≫
 
 ●本日の文例:「なぜ季節性インフルエンザワクチンの8〜10倍の頻度で重い副作用が発症したのか説明できず、因果関係も医学的に立証されていない。」(<事前接種 是か非か 新型インフルエンザ対策 国立病院機構 三重病院長>、08年8月12日)
 インタビュー記事だが、話しを耳で聞くのと、文字に置き換え眼で読むのとは扱いが違うのは当然で、読んで分かりやすい文にする必要がある。
 「なぜ」は「発症した」に掛かっている。
 「季節性インフルエンザワクチンの8〜10倍の頻度で重い副作用がなぜ発症したのか説明できず」
 この記事関連でもう1つ。「キーワード」に「米国の豚インフルエンザワクチン問題」が解説されている。その一節。「…政府はワクチン接種を決定。だが、神経障害のギラン・バレー症候群など重い副作用が高い頻度で起こると報告され、中止。」とある。一読して、「決定したが、臨床研究の結果などから副作用の危険が報告されたので中止した」の意味だと思った。
 ところが、「けいゆう病院小児科部長」のインタビューでは「大流行を恐れた政府が呼びかけ、約4千万人が接種したところ、約500人が重い神経障害を起こした」とある。それなら、「キーワード」の文章は「高い頻度で起こる」ではなく、「高い頻度で起きた」だろう。これなら、他の解釈が入る余地はなかった。
 「…政府はワクチン接種を決定。だが、神経障害のギラン・バレー症候群など重い副作用が高い頻度で起きたと報告され、中止。」
 
 ●本日の文例:「たこつぼ漁発祥の地・兵庫県明石市の漁師増本良生さん(44)は週に5日、荒天でない限り明石海峡の漁場「鹿の瀬」に船を出す。」(<日曜ナントカ学 タコに知性 行動はナゾ>、08年8月10日)
 本来は読点不要の文。
 「たこつぼ漁発祥の地・兵庫県明石市の漁師増本良生さん(44)は明石海峡の漁場「鹿の瀬」に荒天でない限り週に5日船を出す。」
 読点を入れて語順を入れ換えるのなら、
 「たこつぼ漁発祥の地・兵庫県明石市の漁師増本良生さん(44)は荒天でない限り週に5日、明石海峡の漁場「鹿の瀬」に船を出す。」
 が普通か。
 
 ●本日の文例:「国内最大手のオリックス自動車の場合、街角の駐車場など195カ所で283台が稼動する。」(<カーシェアに「乗り換え」 携帯・パソコンで予約 24時間利用、延長も可>、08年8月7日>
 何業の「国内最大手」? 文脈から言うとカーシェアリング業者になるが? 通常は「リース業界国内最大手のオリックス」だろう。
 これは本文補足の囲み記事の冒頭だが、本文中には、「今年は燃料高騰が拍車をかける。オリックス自動車では今年上半期に会員が64%も増えたという。」という文章もある。いきなり「オリックス自動車」が出てきて、なぜ? と思っていたら、何かの「会員が64%も増えた」そうだ。
 業界向けの新聞ではないのだから、ていねいに書いてほしい。
 
 ●本日の文例:「ビール提供都職員処分」(社会面1段記事見出し、08年8月6日)
 見出しに違和感。本見出しに続く記事の導入部は次の通り。「公費でタクシーに乗った公務員が缶ビールなどを受け取る、いわゆる「居酒屋タクシー」問題で、東京都は5日、07年度にビールの提供を受けた職員29人を処分した。」
 ビールを「提供」したから処分されたのではない、「受け取った」からだ。
 「「ビール受取都職員処分」だろう。
 
 
  ≪8/26更新≫
 
 ●本日の文例:「登山に山小屋での宿泊と体力が要求されるこのツアー。」(<きょうの番組 4日 紳助×女神のアンテナ>、08年8月4日)
 「登山に」が浮いている、不要。また、どんなことをするにもそれに応じた体力が要求されるのは当然。わざわざ書くことの意味は?
 「登り8時間・降り6時間を歩き続ける体力と、生活に不便な山小屋での宿泊が要求されるツアー」といったところか。
 
 ●本日の文例:「同じ頃、市長に初当選した久慈義昭さん(63)は、岩手県の工業団地説明会に冷やかし半分で来た東京の宝飾品業者を口説き落とし、82年に「久慈琥珀」に操業を開始した。」(<日曜ナントカ学2 数奇な運命、まちの未来憂え「再発掘」>、08年8月3日)
 「82年に「久慈琥珀」に操業を開始した」。助詞を間違えた珍しい例。おそらく、「82年に「久慈琥珀」が操業を開始した」だろう。
 「久慈琥珀が82年に操業を開始した」が最善か。
 
 ●本日の文例:「古生物学者が実業家と名乗る夫婦に、恐竜がすむ島の上空を回るガイドを依頼される。」(<映画 ジュラシック・パークV>、08年8月3日)
 「古生物学者が」は「依頼される」に掛かる。読点の位置を変える。
 「古生物学者が、実業家と名乗る夫婦に恐竜がすむ島の上空を回るガイドを依頼される」
 語順を変えた方がもっとよい。
 「実業家と名乗る夫婦に、恐竜がすむ島の上空を回るガイドを古生物学者が依頼される」
 
 ●本日の文例:「過労死の防止に貢献したとして、日本マクドナルドの店長で、長時間労働を強いられてきた「名ばかり店長」の待遇の是正を求めた裁判の原告、高野広志さん(47)が2日、過労死遺族がつくる基金「過労死をなくそう!龍基金」の賞を受賞した。」(<「名ばかり店長」過労死防止の賞 マック訴訟の原告>、08年8月3日)
 「過労死の防止に貢献したとして」が掛かるのは「受賞した」。途中の文章が長くて、落ち着かない。
 「日本マクドナルドの店長で、長時間労働を強いられてきた「名ばかり店長」の待遇の是正を求めた裁判の原告、高野広志さん(47)が2日、過労死遺族がつくる基金「過労死をなくそう!龍基金」の賞を過労死の防止に貢献したとして受賞した。」
 または、「過労死の防止に貢献したとして2日、日本マクドナルドの店長・高野広志さん(47)が、過労死遺族がつくる基金「過労死をなくそう!龍基金」の賞を受賞した。高野さんは、長時間労働を強いられてきた「名ばかり店長」の待遇の是正を求めた裁判の原告」
 
 ●本日の文例:「マウンテンバイクを本格的に始めたのは大学2年の99年と遅い。まだまだ力が伸びると感じていた。ちょうどプロ契約の話も舞い込み、夫に頼み込んだ。「赤字になったらやめるから。壮平さんは「3年ぐらいやったら」と反対しなかった。むしろ夫は、最初のボーナスで自転車のパーツを買ってくれた。その後は仕事を辞めて、競技一筋。妻が協議で稼いだ金で合宿費をまかなう。」(<アテネ逃し競技に本腰 マウンテンバイク・片山>、08年8月2日)
 「仕事を辞め」たのは夫か妻か? 何度読んでもはっきりしない。おそらく妻だろうと推定するだけだ。
 
  ≪8/18更新≫
 
 ●本日の文例:「主将にはともに同大出で72年生まれの男子短距離の朝原宣治(大阪ガス)、女子3000メートル障害の早狩実紀(京都光華AC)が選ばれた。」(<陸上選手団も結団式 主将に朝原・早狩>、08年7月29日)
 「主将にはともに」で、アレッ2人いる。「男女主将には」が親切。
 もう1つ、「ともに」の掛かり方。「同大出で72年生まれ」が「ともに」だろう。読点が必要か。
 「男女主将にはともに同大出で72年生まれの、男子短距離の朝原宣治(大阪ガス)、女子3000メートル障害の早狩実紀(京都光華AC)が選ばれた。」
 「男女」が重複するので、整理・再編する。
 「男女主将には短距離の朝原宣治(大阪ガス)、3000メートル障害の早狩実紀(京都光華AC)が選ばれた。ともに72年生まれで同大出身」
 
 ●本日の文例:「マイクロソフト日本法人は25日、同社のソフトウエアや説明書のカタカナ表記で、音を伸ばす場合は単語の末尾も、長音符号の「ー」を付けるようにすると発表した。」(<「コンピュータ」→「コンピューター」 カタカナ末尾"ー"つけます マイクロソフト、08年7月26日)
 「ソフトウエアや説明書のカタカナ表記で」とあるが、「カタカナ表記」のソフトウエアってあるの? 「同社のハード・ソフトウエアの説明書のカタカナ表記で」と書くところ。
 次は「単語の末尾も」。ここは「末尾でも」か「末尾にも」にするのではないか。読点の位置も変えて、「音を伸ばす場合は単語の末尾でも長音符号の「ー」を付けるようにする、と発表した」
 
 ●本日の文例:「早くなった原因は、筋力トレーニングなどといった練習方法がより科学的になったことが一番大きいと言われています。」(<ののちゃんの自由研究 進化続けるスポーツ用品>、08年7月24日)
 「筋力トレーニングなどといった」は「筋力トレーニングなどの」で十分。また、「練習方法」としては「筋力トレーニング」だけが例示されているが、これも不要なのでは?
 「早くなった原因は、練習方法がより科学的になったことが一番大きいと言われています」
 「原因」と「一番大きい」との関係が不適切。
 「早くなった主因は、練習方法がより科学的になったからと言われています」
 
  ●本日の文例:「だが、来日後4年間で難関の介護福祉士の資格を取らなければ、その後も在留できないことを、後で知る人がいるなど、情報の周知が十分でない。」(<試写室 人手不足、解消できる? 福祉ネットワーク「インドネシア人介護士がやってくる」、08年7月24日)
 「来日後4年間で」は「取らなければ」に掛かる。
 「難関の介護福祉士の資格を来日後4年間で取らなければ」
 「介護福祉士」は国内資格だとの説明が必要か。
 「日本国内では難関とされる介護福祉士の資格を来日後4年間で取らなければ」
 もう1つ。「その後も在留できないことを、後で知る人がいるなど」の読点は本来不要なのだが、「その後」「後で」と続くので入れたと思われる。「その後も在留できない」は「在留を継続できない」くらいでいい。問題は「後で」。「志願後」か「志願し入学後」か。
 「在留を継続できないと、志願後に知る人がいるなど」
 「日本国内では難関とされる介護福祉士の資格を来日後4年間で取らなければ在留を継続できないと、志願後に知る人がいるなど」
 「最後の情報の周知が十分ではない」は本当かな? と思う。志願して入学して日本語や介護方法を学んでいるのに? 求人説明に掲載していないのなら、日本政府も共犯でしょう。政府間協定なんだから。本人の理解不足だったら、きちんと教えていないことが問題で、これも課題は政府側にある。
 
 ●本日の文例:「ドーハ・ラウンドでは農業分野と、鉱工業品分野(非農産品分野)の二つが車の両輪だが、ブラジルなど途上国側には、鉱工業品分野で自分たちばかりが譲歩を迫られているという不満がくすぶる。」(<時時刻刻 WTO迫る時間切れ 分野違えば攻守逆転>、08年7月22日)
 「二つが車の両輪」に違和感。「二つ」と「両輪」が重複しているので、「二つ」は不要。と考えていると、どうも「車の両輪」という表現も怪しそうに思えてきた。
 記事の表現だと、ドーハ・ラウンドという車体を、二つの分野が支え推進していることになる。違うだろう。ドーハ・ラウンドという車体に、農業分野と鉱工業品分野(非農産品分野)という二つの課題を乗せて、先進国側の車輪と途上国側の車輪とで複雑に蹴飛ばしあっているというのが、構図だろう。
 「車の両輪」という格好よさそうな語句を使ってみたかったのだろうが、ここでは不適だった。「課題」くらいで十分。
 「ドーハ・ラウンドでは農業分野と、鉱工業品分野(非農産品分野)の二つが中心課題だが」
 
  ≪8/13更新≫
 
 ●本日の文例:「コメは、前回の貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)後に関税の対象となり、現在の関税は1キロ=約340円(価格に一定税率を掛ける「従価税」換算で778%)。」(<コメ関税 2〜5割下げ容認 WTO交渉政府検討 一律上限には反対>、08年7月21日)
 カッコ内の補足が2つの意味で分からない。@記事に出ている数字で計算すると合わない、A本記事には不要な情報だったのではないか。
 まず計算。関税率からするとコメの原価は45円程度。しかし、記事によると「世界最大のコメ輸出国、タイ産のコメは現在、1キロ80円程度」。あれ、半額じゃん。インターネットで調べたら、「実際の輸入価格に安い国際価格も加味する」計算式を使うので、税率が高くなるという。ようするに、タイ産より安いコメがあるわけだ。
 次に、この記事内には、新規関税率について従価税で計算した数字は出てこない。輸入価格が幾らくらいになるかという数字だけだ。
 読者に疑問を抱かせるだけなら、従価税率表示は不要だ。必要だと思うなら用語説明を付加すべきだろう。
 
 ●本日の文例:「浦和の男子14歳以下の選手が毎夏、現地に1週間の遠征をし、バイエルンの同年代のチームと対戦している。」(<レッズとバイエルンのパートナーシップ>、08年7月16日)
 「現地に1週間の遠征をし」、もたついている。「現地に1週間遠征し」で十分。
 文例の直後にも「約2週間の短期研修」という表現がある。これも「短期」は不要。
 
 ●本日の文例:「しかし、休漁中に乗組員が待遇がいい貨物船やタンカーにくら替えしてしまわないか、不安がよぎる。」(<20万隻 窮余のスト 15日一斉休漁>、08年7月13日)
 「乗組員が」は「くら替えしてしまわないか」に掛かるが、間に入る語が長すぎる。こんなときは、読点を入れるか、語順を入れ換える。
 「休漁中に乗組員が、待遇がいい貨物船やタンカーにくら替えしてしまわないか」
 「待遇がいい貨物船やタンカーに休漁中に乗組員がくら替えしてしまわないか」
 または、「が」が続くのに違和感を感じる場合は、後ろを「の」に換える。
 「休漁中に乗組員が待遇のいい貨物船やタンカーにくら替えしてしまわないか」
 
 ●本日の文例:「自治体負担もかかる国の公費補助制度が活用されず、全額自己負担させるところもあった。」(<ケアマネジャー更新研修 自己負担額に地域差>、08年7月12日)
 「自治体負担もかかる国の公費補助制度」で読みにブレーキ。少考したが分からず、読み進めると、「研修費を補助する国の制度があり、補助額は国と都道府県が折半する」との記述があり、このことかと判明。
 「自治体も費用負担する国の公費補助制度」
 「自治体と折半する国の公費補助制度」
 
 ●本日の文例:「各社は「ガソリンスタンドのセルフ給油所も当初は安全性が問題視されたが、便利な点が理解され、一気に普及した。セルフレジにもその可能性はある」(日本NCR)と見ている。」(<「自分で精算」レジ続々>、08年7月12日)
 「各社」とは「レジメーカー各社」を指す。それは良い。「各社」の談話のはずが、「日本NCR」が代表して見通しを述べている。「日本NCR」って何? 記事中に説明がない。この文章の場合、「各社」を主語にすべきではない。
 「レジメーカーで作る団体・日本NCRは…と見ている」
 
 ●本日の文例:「こうした資材費が車の価格に占める割合は、一般的に5〜6割と言われる。そのほか1〜2割が人件費や光熱費、1割が販売促進費や物流コストで、残りが利益。単純計算だと、資材費が3割上がれば、もうけが吹き飛ぶ。」(<価格の力学 自動車20年の沈黙破る?>、08年7月11日)
 計算してみよう。資材費+人件費・光熱費+販売促進費・物流コスト=7〜9割。もうけは3〜1割。「資材費が3割」上がるということは、全体の構成比では1.5〜1.8割上がるということだから、もうけが1割なら確かに「吹き飛ぶ」が、2割以上あれば吹き飛ばない。「単純計算」ではどちらとも言えない。
 
  ≪8/4投稿≫
 
 ●本日の文例:「電子化後は預託をしていないと、自由に売買できない。」(<株券電子化 残り半年 たんす株 なお128億株 システム構築遅れも>、08年7月8日)
 「預託をしていない」の「を」は不要。
 「電子化後は預託していないと」
 3段記事でけっこう長い文章の中だが、「ほふりに株券を預託し」「預託されなかった株券は」と他の2カ所では動詞化して使っている。
 
 ●本日の文例:「東亜日報、朝鮮日報、中央日報の韓国大手3紙は7日、大手ポータルサイト「ダウム」への記事提供を中断した。(中略)
 一方、韓国最大手ポータルサイト「ネイバー」は同社が配信する他メディアのニュースに対する見出しなどの独自編集を年内に取りやめると発表。波紋が広がっている。」(
<牛肉問題で対立「記事もう送らん」 韓国3紙、ポータルサイトに>、08年7月8日)
 「波紋が広がっている」に悩んだ。何の波紋がどこに広がっているのか? 「広がりそう」ではなく「広がっている」だから、記事中に書かれている事柄になる。
 何回か読み直して記事の流れをつかんだ。3大紙が配信したニュースの見出しを「ダウムの判断で記事の趣旨と違う見出しをつける場合があった」などが起因して、ダウムへの記事提供を取りやめた。これを受けて、ネイバーが独自編集を取りやめると発表した。
 すると問題は「一方」だ。並列的になってしまい「波紋」として理解できない。適切に接続すれば紋切り型を末尾におく必要はまったくない。
 
 ●本日の文例:「この季節、二の腕あたりが気になります。いえ、ノースリーブを着る機会が増えるのでちょっと目立つ程度なのですが、無理なく余分な脂肪を燃やす方法はないものか、つい考えてしまいます。代謝が上がるとエネルギーをたくさん使うので自然と燃える量が増えると思うのですが…。」(<元気のひけつ 基礎代謝アップ>、08年7月6日)
 導入部全体が気になった。1つは「いえ」。これは不要。逆接になっていないから、あると間違い。2つめは「代謝が上がるとエネルギーをたくさん使う」。「代謝」を広辞苑で引こうと思ったら、記事本文に解説があった。「代謝は、生命の維持や体の活動に必要なエネルギーを、食べた物などからつくり出す化学反応のことだ」。従って、「代謝が上がる」「とエネルギーをたくさん使う」は同義反復だ。
 3つめは記事全体にかかわることで、導入では「余分な脂肪」に焦点を当てているが、記事本文では基礎代謝に伴う「糖質や脂質」の消費量だ。「余分な脂肪」どころか「脂肪」だけの話でもない。 こんな導入はない方がまし。

 ●本日の文例:「首都大学東京の西澤潤一学長は「東西の一大公立大が連携することで、教育や研究の奥行きをグッと広げたい」と抱負を述べた。」(<東西の公立大が交流協定>、08年7月6日)
 取材した発言だといっても、政治家の場合によく表現されるように不十分な点は補ったり、明らかな勘違いは伏せたりすることは必要だろう。東西各1つの公立大が交流するのだから、正確には「2大公立大が連携する」だろう。そもそも「大公立大」という表現を記事にするかどうか、センスが問われるところ。
 「東西の公立大が連携することで」
 「東西の大きな公立大が連携することで」
 
 
  ≪7/28投稿≫
 
 ●本日の文例:「森貫主は古代東北の英雄アテルイの顕彰碑が清水寺にある関係で昨年「奥州大使」に。」(<青鉛筆>、08年7月5日)
 「森貫主は」が掛かるのは末尾の「奥州大使に」。間が開きすぎて、読まされる方は宙ぶらりん感を抱く。こんなときは読点を使うか、間を詰める。
 「森貫主は、古代東北の英雄アテルイの顕彰碑が清水寺にある関係で昨年「奥州大使」に。」
 「古代東北の英雄アテルイの顕彰碑が清水寺にある関係で森貫主は昨年「奥州大使」に。」
 
 ●本日の文例:「もっと参加国を広げるべきではないか。そんな声が出ている。代表的なのは、サルコジ仏大統領が提唱している中国、インド、南アフリカ、ブラジル、メキシコなどを加える案だろう。アラブ・イスラム圏を入れるべきだという意見や、逆に米中2カ国だけでいいという極論もある。」(<社説 洞爺湖サミット 「G8」の限界を超えて>、08年7月4日)
 「広げるべき」だという論の流れの中に、「逆に米中2カ国だけでいい」が突然現れたので理解に戸惑った。流れを2つに分けるべきだろう。
 「代表的なのは、サルコジ仏大統領が提唱している中国、インド、南アフリカ、ブラジル、メキシコなどを加える案だろう。また、アラブ・イスラム圏を入れるべきだという意見もある。逆に参加国を縮小し、米中2カ国だけでいいという極論もある。」
 
 ●本日の文例:「調べなどによると、魚秀の中谷彰宏社長が取引関係にある高知県内の水産加工会社取締役を通じて、高松市の水産会社元専務らに偽装工作を依頼。元専務らは2〜3月、高知市内の倉庫で国産用の箱への詰め替えを作業などをし、魚秀の非常勤役員でもある取締役から約1億円を受け取った。」(<魚秀側、偽装報酬1億円 ウナギ詰め替え業者に>、08年7月4日)
 「ら」は別にして登場人物は何人? 「水産加工会社取締役」「水産会社元専務」「魚秀の非常勤役員でもある取締役」の3人かと思った。「2人とも現金の授受を認めているという」という文章が直後に続いたので、「水産加工会社取締役」と「魚秀の非常勤役員でもある取締役」が同一人物であると分かった。すると、疑問が生じた。「魚秀の非常勤役員でもある取締役」の方が魚秀との関係を密接に表しているのではないか。なぜ、最初に書かなかったのだろうか? 
 「魚秀の中谷彰宏社長が、同社の非常勤役員で取引先でもある高知県内の水産加工会社の取締役を通じて、高松市の水産会社元専務らに偽装工作を依頼。元専務らは2〜3月、高知市内の倉庫で国産用の箱への詰め替えを作業などをし、取締役から約1億円を受け取った」
 
 ●本日の文例:「同社は1年前にも、出荷したかば焼きから抗菌剤が生体内で代謝してできる物質が見つかっており、安全対策を講じていなかった疑いが出てきた。」(<禁止抗菌剤検出ウナギ 魚秀親会社が輸入>、08年7月4日)
 かば焼きから検出されたのは「抗菌剤」ではなく「代謝物質」。
 「抗菌剤が生体内で代謝してできる物質が出荷したかば焼きから見つかっており」

 ●本日の文例:「「あん摩マッサージ指圧師」や「はり師」「きゅう師」などの国家免許を取った人が、盲学校などの「教員」になるために学んでおり、一般の希望者対象に外来治療も受けている。」(<あなたの安心 つらい肩こりC>、08年7月3日)
 「外来治療も受けている」のは誰? 「国家免許を取った人」は治療を施す方に違いないので、「外来治療を施している」が妥当。
 「受ける」にこだわたのはなぜか? 「希望」があったからか。「市民の希望を受け」くらいか。
 「一般の希望者対象に外来治療も施している」
 「市民の希望を受け、一般対象に外来治療も行っている」
 
 ●本日の文例:「重圧がかかる状況では、いつも自分の泳ぎができていないかもしれない。…」(<ハンセン 重圧に沈む 水泳 北京五輪米国代表選考会>、08年7月2日)
 「いつも」が気になった。「状況ではいつも」なのか、「いつもの泳ぎ」の「の」が落ちたのか? ハンセンのレース後の談話だから当然翻訳だ。日本語的には「いつもの泳ぎ」の方が分かりやすい。
 「重圧がかかる状況では、いつもの自分の泳ぎができていないかもしれない」
 「重圧がかかる状況ではいつも、自分の泳ぎができていないかもしれない」
 
 ●本日の文例:「飛車を盤の中央に振る「中飛車」といわれる戦法が得意だ。」(<ひと 検事総長に就任した…>、08年7月2日)
 「盤の中央」は5五、中飛車は「振飛車で、飛車を中央の王将の頭に移して駒組みをすること」(広辞苑)。
 「飛車を中央の王将の頭に振る「中飛車」といわれる戦法が得意だ」
 
 ●本日の文例:「多くの被災者がタイへの脱出を試みるが、軍政は検問所を設けて監視。わいろを払うしか方法はなく、入国できるのは1、2割とされる。」(<決死の出国 息潜め生活 サイクロン被災者>、08年7月1日)
 「入国できるのは」で読みにブレーキが掛かった。「脱出を試み」ているのだから、「出国できる」が当然の表現だろう。「入国」を使うのならば「タイへ」を補ってほしい。
 「わいろを払うしか方法はなく、出国できるのは1、2割とされる。」
 「わいろを払うしか方法はなく、タイへ入国できるのは1、2割とされる。」
 
 ●本日の文例:「消費者からの求めによらない「飛び込み勧誘」を禁じる内容に対し、評価する見方が多かった一方、マイナスの効果を懸念する声も出た。」(<「飛び込み勧誘」禁止賛成が大勢 秋田県条例>、08年7月1日)
 「マイナスの効果」って何? 普通に「否定的」ではいけないのか? なぜカタカナを多用したがるのか分からない。意味が曖昧になるだけだ。そう言えば「評価する」も、それ自体には価値判断は含まれていない。「評価する見方」って、どう評価したのか不明。これも「肯定的」「賛意」でいいだろう。「評価に値する・しない」という表現になるとまた別だ。
 公聴会などを設定して消費者の意見を聞いたのだろうが、賛否があるのは当たり前だから、「賛意を表す声が多かった」でもいいのではないか。実際の記事では、文例の後に、幾つか出た意見が紹介されているが、そちらを増やした方が良かった。
 「賛意を表す声が多かった一方、否定的な声も出た」
 「賛意を表す声が多かった」
 
  ≪7/21投稿≫
 
 ●本日の文例:「しかし、かいこうは03年に子機が潜航中に行方不明になり、現在はアビスモが1万メートルより深く潜れる世界唯一の探査機だ。」(<海底1万メートルで泥採取に成功 無人探査機「ABISMO」>、08年6月27日)
 行方不明になったのは「かいこう」か「子機」か。答えは「子機」。「潜航」したのも「子機」、「かいこう」は潜れない。
 「かいこうは、03年に子機が潜航中に行方不明になり」
 「かいこうの子機が03年、潜航中に行方不明になり」
 
 ●本日の文例:「勝負強いとか、しぶといとか、もともとドイツが冠していた形容詞を奪い返すような勝利で12年ぶりの決勝に進んだ。」(<サッカー欧州選手権 ドイツ劇的 3大会ぶり決勝 経験と粘り 大接戦制す>、08年6月27日)
 「奪い返すような勝利」に違和感。「ような」がなければいいと最初に思ったが、違うようだ。「しぶとい」という評価は「奪う」ものではないからだ。本領発揮、本家ぶりを示した、上回ったなどの表現が適切だろう。
 「勝負強いとか、しぶといとか、もともとドイツが冠していた形容詞の本家ぶりを示した(本領を発揮した)勝利で12年ぶりの決勝に進んだ」
 
 ●本日の文例:「パネルディスカッションでは、国立環境研究所幹部ら9人が意見を交わし、最後に近藤弥生区長が「足立区は、高い志をもった『日本一地球にやさしいひとのまち』を築き上げ、地球温暖化防止に貢献する」としたサミット宣言文を朗読し、閉会した。」(<ツバルの現状 副首相が訴え 足立で環境サミット>、08年6月22日)
 「朗読」に違和感。広辞苑によれば、「朗読」とは「声高く読み上げること。特に、読み方を工夫して趣あるように読むこと」。なるほど、言葉本来の意味からすれば「朗読」でもいいのか。でも、宣言文の読み方に特に工夫があってそれを強調したいのなら、それを具体的に書けばいいのであって、ふつうに「読み上げ」でいいのではないか。
 「サミット宣言文を読み上げ、閉会した。」
 事務的か? 「朗読」の方が叙情的で記者の好みか?
 
 ●本日の文例:「ボート女子エイトの中国が18日までポーランドで行われた五輪世界最終予選で出場権を逃し、同民族ただ一人の五輪代表となる見込みだったコックスのズレンジ選手(26)の参加がなくなったため。」(<チベット民族、五輪出場ゼロに ボート出場権逃す>、08年6月21日)
 前半が混乱。「…中国が…出場権を逃し」が骨格。
 「18日までポーランドで行われたボート女子エイトの五輪世界最終予選で中国が出場権を逃し、」
 共同通信配信だが、語順を換えて読みやすくするのは許されるでしょう?
 
  ≪7/14投稿≫
 
 ●本日の文例:「修理をする技術者はメンテナンスの教育を受けている。」(<環境テクノ最前線 建機もハイブリッド>、08年6月20日)
 「修理をする」の「を」は不要。「メンテナンス」は「維持、管理、保守」のことだから、保守管理教育を受ける「技術者」って、どんな職業?
 「修理担当者は保守管理教育を新たに受けている」くらいか。
 
 ●本日の文例:「以前の商品は850万個売れたが、決して光ることはなかった。」(<「フラワーロック」20年後の復活>、08年6月20日)
 「決して光ることはなかった」。こんなに力む必要はない。普通に「光らなかった」でいい。
 
 ●本日の文例:「低学歴、低所得の親ほど、子供だけには学歴を付けさせ社会的に認めさせようと、歯を食いしばって頑張り、その願いをかなえたものだ。」(<経済気象台 貧困再生産>、08年6月20日)
 「子供だけ」の「だけ」に引っ掛かった。こんな強調は不要だ。「子供には学歴を付けさせ」で十分。と、考えているうちに、「低学歴、低所得の親ほど」という表現に疑問を感じた。貧しいほど「歯を食いしばって頑張」るって本当だろうか? さらには「その願いをかなえた」そうだ。これって形を変えた絶対的貧困化待望論か?
 
 ●本日の文例:「長年、日本を代表して米国政府と外交交渉にあたった人らしく、言葉の歯切れもいい。」(<自由自在 「もの言う人」期待>、08年6月19日)
 広辞苑によると「歯切れ」は「@歯でかみ切るときの感じ。A人の発言やしゃべり方の調子」だから、「言葉の歯切れもいい」は重複表現。
 
 ●本日の文例:「「ばかばかしいんですけど」(森内)というせっかくの拠点の歩の成り捨てが、羽生がうっかりしていた攻めをつなげる妙手だった。」(<第66期名人戦七番勝負 第5局第6譜、08年6月19日)
 「羽生がうっかりしていた」が、「攻め」「妙手」のどちらに掛かるか悩んだ。
 「羽生がうっかりしていた攻め」と初読したが違和感がある。「妙手」に掛かると理解するのが自然か? とすると、「羽生がうっかりしていた、」と読点が必要。
 「歩の成り捨てが、羽生がうっかりしていた、攻めをつなげる妙手だった」
 「攻め」に掛かるように書くのなら、
 「歩の成り捨てが、羽生がうっかりしていた攻めを、つなげる妙手だった」
 おかしいか。2文に分けるか。
 「歩の成り捨てが攻めをつなげる妙手だった。この手を羽生がうっかりしていた」
 
 ●本日の文例:「延命院は徳川家光の側室、お楽の方の安産祈願に功績のあった僧侶、日長のために幕府が建立した寺。」(<きょうの番組 日本史サスペンス劇場>、08年6月18日)
 読点の意味を考えるのに適した見本。延命院の説明をしているので、「延命院は、」とすれば他の読点は不要。読点があることで掛かり方が分かりにくくなっている。
 「延命院は、徳川家光の側室お楽の方の安産祈願に功績のあった僧侶日長のために幕府が建立した寺。」
 肩書きと名前をどうしても分けたければ中黒を使えばよい。
 「延命院は、徳川家光の側室・お楽の方の安産祈願に功績のあった僧侶・日長のために幕府が建立した寺。」
 
 ●本日の文例:「飲み会が始まった時には午前0時を過ぎていた。」(<わが家のミカタ 押忍! 青春の寮ライフ>、08年6月17日)
 「時」「午前0時」は重複。
 「飲み会が始まったのは午前0時を過ぎていた。」
 始まった時間を強調したいなら、
 「午前0時を過ぎて飲み会が始まった。」の方がいいか。
 
 ●本日の文例:「県は民間業者に寮とマンションなどを建設させ、マンション部分の借地料を寮を買い取る費用にして建設費を節約する方針だ。」(同上)
 何度読んでも分からない。特に問題は「借地料」だ。「借地料を寮を買い取る費用に」する?
 記事全体からして寮のある土地は県の所有だと思われるので、「貸地料」と間違えたのではないかと推測した。
 次に、「マンション部分の(借地)貸地料を寮を買い取る費用にして」という表現。マンション部分を貸地にするのだから、寮部分の土地はそれとは別にあると理解できる。とすれば、貸地料を「寮の建設費にあて」で済むのではないか。
 「寮を買い取る費用にして建設費を節約する」という文章で何を言いたいのか? さらに考えた。
 「寮とマンションなど」とあるので、「寮とマンションとその他の3棟以上をこの土地に建設するのだろう」と初めは理解していたが、どうも違うらしい。寮とマンション他からなる1棟を建設するようだ。そうすれば、マンション部分の「賃貸料」を「寮部分を買い取る費用にして建設費を節約する」ことは可能だ。
 「県は、民間業者に寮とマンションなどの混住棟を建設させ、マンション部分の賃貸料を寮を買い取る費用にして建設費を節約する方針だ。」
 この解釈で本当にいいのだろうか?
 
  ≪7/7投稿≫
 
 ●本日の文例:「前半、クロスに走り込むスルナのポジションは悪かったが、緩慢なヤンセンの後ろから右足だけをすばやく出した。」(<サッカー欧州選手権 12日 クロアチア大物食い>、08年6月14日)
 「右足だけ」の「だけ」に疑問。「だけ」で何を言いたかったのだろう。両足を出さなかったことを強調したかったのだろうか? 手を使うわけにはいかないし。右足を「出す」ためには体全体のバランスが必要だ。「右足だけ」が動くわけではないから、「だけ」は不要。
 「緩慢なヤンセンの後ろから右足をすばやく出した。」
 
 ●本日の文例:「中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、問題の「CO・OP 手作り餃子」を販売した日本生活協同組合連合会と輸入元の日本たばこ産業(JT)の子会社ジェイティフーズが、製品を食べて被害を受けた千葉県の2家族と補償金を支払うことで和解したことが13日、わかった。」(<ギョーザ事件の被害2家族和解 日本生協連・JT子会社>、08年6月14日)
 「輸入元の」は、「日本たばこ産業(JT)」ではなく「子会社ジェイティフーズ」に掛かる。 「日本たばこ産業(JT)の子会社で輸入元のジェイティフーズが」
 販売者と輸入者の間に読点があったらもっと分かりやすい。
 「問題の「CO・OP 手作り餃子」を販売した日本生活協同組合連合会と、日本たばこ産業(JT)の子会社で輸入元のジェイティフーズが」
 
 ●本日の文例:「二審の審理で明らかになった番組カットの生々しいやり取りは疑念を抱かせた。」(<編集自主性広く認定>、08年6月13日)
 「疑念」の内容が分からない。サッと読んだとき、「生々しいやり取り」に対して疑念を持ったのかと思った。どうも違うらしい。「改変への疑念」とはっきり書いてくれればいいのに。
 
 ●本日の文例:「英語のスピーチの特訓を進言しようにも、福田政権が来秋まで持つ保証も、ない。」(<自由自在 棒読みしたら五輪遠のく?>、08年6月13日)
 「保証も」の「も」は「は」でよい。また、その直後の「、」は不要だ。気取る必要はまったくない。
 「福田政権が来秋まで持つ保証はない。」
 
 ●本日の文例:「アフリカ勢のカメルーンは1次リーグで対戦するナイジェリアを想定した相手だった。しかし、北京五輪で対戦する3カ国はいずれも日本より体格で上回る。」(<U23ひるまずサッカーU23国際親善 カメルーン戦>、08年6月13日)
 「しかし」は誤用、不要だ。
 
 ●本日の文例:「ODA5位転落に歯止めなどかける必要は、この国が経済・社会危機を乗り越えるまではない。」(<経済気象台 TICAD W>、08年6月13日)
 「乗り越えるまではない」の「は」は不要。
 
 ●本日の文例:「収容の可否を決めるのに軍の内部審査は代替策としては不十分で、憲法に違反した権利の停止にあたるとした。」(<拘束者権利制限は違憲 米グアンタナモ 連邦最高裁判決>、08年6月13日)
 「憲法に違反した権利の停止にあたるとした」に戸惑った。「憲法に違反した」は「権利」に掛かると即断したが、何だかおかしい。再読して「停止」に掛かっていると分かった。
 「憲法に違反した「権利の停止」にあたるとした。」
 分からなくはないが、一読通意ではない。できるだけていねいに書いてほしい。この記事の末尾には10文字分の空白があった。
 「憲法に違反した「司法の場で争う権利の停止」にあたるとした。」
 前後を入れ替えた方がもっとよいか?
 「司法の場で争う権利の停止にあたり、憲法違反と判断した」
 
 ●本日の文例:「財源は補正予算や09年度予算の編成過程で検討することになるが、与党内では道路特定財源の一般財源化による道路予算の削減への抵抗もあり、捻出できる見通しはない。」(<時時刻刻 高齢者医療 見直し小幅>、08年6月11日)
 問題は2つ。1つは「与党内では」が浮いていて「あり」に掛かっていることが分かるまで時間を要したこと。
 「道路特定財源の一般財源化による道路予算の削減への抵抗も与党内ではあり、」
 もう1つは、「特定財源」の転用問題がいきなり前面に提示されていること。それだけ「一般財源化」が草刈場になっているという認識なんだろうが、ていねいに書いてほしい。
 「道路特定財源の一般財源化により道路予算が削減され他施策に回されることへの抵抗も与党内ではあり、」
 
 ●本日の文例:「他者への鈍感と、自己愛との途方もない落差に、ただ慄然とする。」(<天声人語>、08年6月10日)
 秋葉原事件を題材にした論の末尾文だが、「自己愛」に違和感。広辞苑によれば、自己愛は「ナルシシズムに同じ」で、ナルシシズムは「自己を愛し、自己を性的対象にとすること。転じて、自己陶酔。うぬぼれ」となっている。自己愛とは本来、自分に対する自信、少なくとも自分への肯定を前提にしていよう。そこからは「他者への鈍感」は生まれようが、「殺意となるほどの他者への憎しみ」へとはつながるまい。まだ、自分を捨ててはいないからだ。
 逮捕された容疑者の思考は理解しがたいが、無差別殺人の根源にあるのは「自己愛」ではなく、自分への深い絶望感、自己嫌悪、自暴自棄だろう。
 当日には、「無差別殺傷 凶行のなぜを知らねば」と題した「社説」が掲載されているが、そこでは「たとえ世の中に絶望したとしても」「膨らんだ殺意は身勝手」「自暴自棄」「他人を攻撃する理由」などの語句がある。この社説と天声人語との「途方もない落差に、ただ慄然とする。」
 
 ●本日の文例:「改革の実行には、政府に説明能力と責任が求められる。」(<医療再生へ 選択のとき 英国 どん底から改革>、08年6月8日)
 特集記事の末尾に置かれた文章。紋切り型の典型で、何を主張したいのか分からなかった。「改革」とは英国の改革を指しているのだろうか? 「政府」とは英国政府を指しているのだろうか? 日本政府の改革案は記事のどこにも触れていないのだから、そう考えるしかない。で、「政府に説明能力と責任が求められる。」って、自明のことをわざわざ言うこと意味は? この文章はない方がよい。
 
 ●本日の文例:「ここからはすべてが反転し、見事な逆転が始まった。」(<奇想遺産 オルセー美術館>、08年6月8日)
 「反転し」「逆転が始まった」はやっぱり重複だろう。「ここからは」の「は」も不要だろう。
 「ここから、すべて見事に逆転した。」
 「ここから見事な逆転が始まった。」
 
  ≪6/30投稿≫
 
 ●本日の文例:「近くの摩周湖や西別岳(標高799.5メートル)の伏流水が流れ込む清流のなかで、時々体を反転させては小さな虫を食べ、旅の道中に栄養もつけている。」(<いざ海へ―達者でな>、08年6月7日)
 「道中」は「道の半ば。途中。旅行。たび」の意味だから、「旅の道中」は言葉が重複。また、「栄養も」の「も」が意味不明。
 「道中に栄養をつけている。」
 
 ●本日の文例:「もともと国民は経済統制のDNAを持っており、石油価格が急落すれば、自由化しつつあるロシア経済全体の崩壊につながる危険性をはらんでいる。」<「経済気象台 ロシア経済」、08年6月7日)
 「経済統制のDNA」って何? それを「国民が持っている」だって? DNAって国民が持つものなの? 意味不明の文章。ロシアが社会主義国だったことを皮肉って言っているのか? では、革命を経験したことのない日本国民は「お上の言いなり」のDNAを持っているわけだ。

 ●本日の文例:「動態統計ではまた、07年の死亡数が前年比約2万4千人増の約110万8千人で、出生数(約109万人)から死亡数を差し引いた「自然増加数」が1万8535人のマイナスに転じた。」(<年金分割 縁の切れ目? 熟年離婚 突然16%増 07年厚労省統計、過去最多>、08年6月6日)
 最初に目を通したとき、「自然増加数」がマイナスに転じたって、「自然減となった」でいいのに、なぜ分かりにくい表記をするのかと思った。読み直して、「自然増加数」という「厚生労働省の人口動態統計」で使われている表現をそのまま使ったからだと気付いた。ま、しょうがないか。
 読み直したとき、「2万4千人増」と「1万8535人のマイナス」に引っ掛かった。なぜ日本語と英語を使い分けているのか? 「「2万4千人プラス」か「1万8535人の減少」でかまわないと思うが。ここまで来て、この記事はおそらく、厚労省の新聞記事向け要約をそのまま載せているのだろうと推測した。それは「1万8535人のマイナス」の数字で確信となった。死亡数・出生数のいずれも「約」と概算していながら、自然増加数は5桁の数字を示している。なぜ? 約1万8千人でいいのでは。この記事の限りでは、「マイナスに転じた」ことが重要なんだろう!
 何回も読み直しているうちに、死亡数は前年比が出ているが出生数にないのはなぜ? との疑問も出てきた。
 さて、本題。文例の骨格は「統計では、…「増加数」がマイナスに転じた」だが、舌足らずだ。「ことが明らかになった」くらいは必要だろう。
 以上を取りまとめると、
 「動態統計ではまた、07年の死亡数が約110万8千人と前年比約2万4千人増え、前年とそれほど変わらなかった出生数約109万人から死亡数を差し引いた「自然増加数」が約1万8千人のマイナスに転じ、2年ぶりに自然減となったことが分かった。」
 
 ●本日の文例:「ただ、フィルタリング機能の向上に取り組む研究開発機関が国に登録できる、として国の関与を残した。」(<サイト規制 有害判断 国関与せず 法制化へ与野党基本合意>、08年6月3日)
 何を「登録できる」のか不明。フィルタリングの基準作りは民間で担うと前段で書いてあるので、繰り返し読んでも分からなかった。
 文例に続いて「将来的に表現の自由に抵触する恐れがないのか議論になりそうだ。」との文があるので、おそらく、研究開発機関が認定した「有害情報サイト」を例外として登録できるのだろうと解釈してけりをつけたが、わだかまりは残った。
 以下の関連記事が6面にあった。
 「ただ、国の介入への不安は関係者に残る。フィルタリングソフトの調査・研究・普及・啓発・技術開発に取り組む機関に対し「総務省・経産省の登録を受けることができる」とする登録制を残した点だ。」
 「登録を受けることができる」という表現はもっともらしいが、よく分からない。法律用語か? 「登録を受ける」と「登録する」はおそらく意味が違うのだろう。機関側が登録を希望しても省側が拒否できるという意味が含まれていよう。すると、「登録を受けることができる」という表現の解釈は、「機関側が省側に登録を希望してもしなくてもよいし、省側もまた登録してもしなくてもよい」ということになるか。
 さて、本日の文例に戻って考えると、次のようになろう。
「ただ、フィルタリング機能の向上に取り組む研究開発機関が任意に国に登録を希望(申請)できる、として国の関与を残した。」
 
 ●本日の文例:「全国電商連によると、販売店が設置の際にアンテナ調整など受信できるまで整えない例もあるという。」(<迫る地デジ化 まちの電器店が「デジタル110番」>、08年6月3日)
 骨格は「販売店が…整えない例もある」だ。理解できないのは「アンテナ調整など受信できるまで整えない」だ。「調整」「整えない」という使い方が混乱している。
 いろいろ考えた末、“地上デジタル放送を受信できない地方がある”ことがこの記事の前提になっているのだろう(本当かどうかは分からないが)と理解して次のように読んだ。
 「受信機器設置の際に販売店が、地デジ放送を受信できるようになるまでアンテナなどを調整しない例もあるという。」
 
 ●本日の文例:「こんなとんでもない理屈でしか存在理由を示せないお役所の縛りをなくし、権限や財源を移して自治体を「地方政府」に高めていく。」(<社説 地方分権勧告 首相も首長も覚悟を示せ>、08年6月2日)
 「とんでもない理屈」に引っ掛かった。いつもの広辞苑を引く。
 「とんでもない=@とても考えられない。思いもかけない。途方もない。A(相手のことばを強く否定して)そんなことはない。冗談ではない。」
 「理屈=@物事のすじみち。道理。ことわり。Aこじつけの理由。現実を無視した条理。また、それを言い張ること。B色事。情事。Cやりくり。金の工面。また、心づもり。手はず。」
 「理屈」に「こじつけ」が含まれているから、「とんでもない」は不要だろう。
 「こんな理屈でしか存在理由を示せないお役所の縛りをなくし」
 
 ●本日の文例:「相手に体でつぶされると太刀打ちができていないように見える。」(<6月決戦 突破せよ 日本スタイルのサッカーとは? 走る 相手よりも走る 元日本代表監督>、08年6月2日)
 「太刀打ちができていない」の「が」は不要。「太刀打ちできない」。
 
 ●本日の文例:「悲しいかな、記者は数字が分からない。」(<第33期名人戦 挑戦者決定リーグ戦 第22局第7譜>、08年6月1日)
 文章自体は一読通意だ。でも、そのまま受け取っていいのか? 「数字」の分からない観戦記者なんているのか? これに続く文は以下の通り。
 「いつもは分かったような顔をして目数を書くが、解説者の受け売りである。」
 つまり、分からないのは数字ではなく地の計算だ。ならば、「地が数えられない」でよい。
 「悲しいかな、記者は地が数えられない。」 本当に悲しい!
 さらに悲しいのは「本局では数字をいっさい使わないことにしよう。」と書いておきながら、直後に「大ヨセの第1弾、白8を井山は意外だったという。」と記す。「1」「8」は数字だろう。

 
  ≪6/23投稿≫
 
 ●本日の文例:「そのうちのネット棋戦ではマウスのクリックミスによる時間切れ負けという珍事を起こしたが、棋聖戦の挑戦者決定戦と竜王戦の本戦入りにあと一番と迫る急所の対局はしっかり押さえた。」(<第66期名人戦 7番勝負 第4局第2譜>、08年5月31日)
 「棋聖戦の挑戦者決定戦と」の「と」に引っ掛かった。「棋聖戦の挑戦者決定戦と竜王戦の本戦」入りに「迫る急所の対局」と並列で読めてしまい、おやっと思った。「挑戦者決定戦」「竜王戦の本戦入り」と表現を替えているので、分けて表現したかったのだと気付いた。であれば、「と」の後に「、」が必要。
 「棋聖戦の挑戦者決定戦と、竜王戦の本戦入りにあと一番と迫る急所の対局はしっかり押さえた。」
 これでは「急所の対局」に「決定戦」が掛からないか。
 「棋聖戦の挑戦者決定戦、竜王戦の本戦入りにあと一番と迫る急所の両対局はしっかり押さえた。」
 
 ●本日の文例:「8季ぶりに優勝を果たした明大が、その斎藤の絡むプレーで匿名などの抗議を受けていた。」(<自由自在 熱戦に水差す一方的な抗議>、08年5月30日)
 「匿名などの抗議」は変。匿名は「実名を隠して知らせないこと」だから、「匿名を含む」とか「実名・匿名併せ」とかにするか、いっそ「匿名など」を削除しても良い。
 「8季ぶりに優勝を果たした明大が、その斎藤の絡むプレーで抗議を受けていた。」
 
 ●本日の文例:「東京ガス本社(東京都港区)の供給指令センターでも、夜間も4人がガスの供給状況に目を光らせる。」(<働く 夜を支えるC ライフラインを守れ>、08年5月30日)
 記事の前段では「東京電力五井火力発電所」の例が示されており、それを受けての「東京ガス本社の供給指令センターでも」だから、この「も」は分かる。だが、「夜間も」の「も」は不要。「昼も夜も」と記者は言いたかったのだろうが、どこにも昼のことは触れていない。
 「供給指令センターでも、夜間4人がガスの供給状況に目を光らせる。」
 すっきり読めないか? 語順を替えてみる。
 「供給指令センターでも、ガスの供給状況に4人が夜間目を光らせる。」
 
 ●本日の文例:「自民党側は当初、補助率引き上げと交付税拡充で、自治体の実質負担を現在の約3分の1から約2%に減らす、災害復旧工事並みの水準を検討していた。」(<学校耐震9割国負担 自公民、引き上げ合意>、08年5月28日)
 「自治体の実質負担を現在の約3分の1から約2%に減らす、」が浮いている。「災害復旧工事並みの水準」に掛かるのなら、読点は不要だ。
 「自民党側は当初、補助率引き上げと交付税拡充で、自治体の実質負担を現在の約3分の1から約2%に減らす災害復旧工事並みの水準を検討していた。」
 
 ●本日の文例:「東京都渋谷区の歯科医師宅で06年12月、短大生の長女(当時20)を殺害し遺体をバラバラに切断したとして、殺人と死体損傷の罪に問われた兄の×××被告に対し、東京地検は27日、殺人罪で懲役7年(求刑懲役17年)の判決を言い渡した。」(<妹殺害 懲役7年>、08年5月28日)
 「短大生の長女」「兄の×××被告」に違和感。「短大生の長女」は「歯科医師宅」の「歯科医師」を受けているのだろうが、「歯科医師宅」は事件の現場を示しているだけで歯科医師との関係を表してはいない。さらに問題は次の「兄の×××被告」。これは被害者との関係であって「歯科医師」との関係ではない。つまり、一つの文の中に、歯科医師との関係と、被害者との関係が混在しているため、サッと読めなくなってしまった。
 「東京都渋谷区の歯科医師宅で06年12月、短大生の長女(当時20)を殺害し遺体をバラバラに切断したとして、殺人と死体損傷の罪に問われた次男で兄の×××被告に対し、東京地検は27日、殺人罪で懲役7年(求刑懲役17年)の判決を言い渡した。」
 「次男」かどうかは確認していません。悪しからず。
 
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 ●本日の文例「英国では受信料による英国内向けのBBC本体と区別し、国際放送部門は、ラジオがほぼ全額政府の交付金で運営するワールドサービス、テレビは広告収入で運営するワールドワイドが担当する。」<Media Times 信頼性が肝 国際放送>、08年5月27日)
 10分ほど悩んだ。最初は「ほぼ全額」。これは不要。次に、「運営するワールドサービス」。「運営される」だろう。「ラジオ」「テレビ」を主語にしたいのだったら受動態が分かりやすい。3番目は、「受信料による」を受ける語がないこと。4番目は「英国内向け」でこれは重複。
 「英国では受信料で運営される国内向けのBBC本体と区別し、国際放送部門は、ラジオが政府交付金で運営されるワールドサービス、テレビは広告収入で運営されるワールドワイドが担当する。」
 「ラジオ」「テレビ」を無理に主語にしなくても良いのではないか。
 「国際放送部門は、政府交付金で運営されるワールドサービスがラジオ、広告収入で運営されるワールドワイドがテレビを担当する。」
 ついでに見出しにも一言。「肝」は砕け過ぎ。広辞苑・第四版では「@肝臓、A内臓の総称、B精神。気力。胆力。C工夫。思案。」と解釈されていて、記者の言いたい「重要な課題」という意味はない。素直に「肝心」とするか、「カギ」でよい。 それとも、第4版では古すぎるか?
 
 ●本日の文例「大リーグのドーピング騒動を水際で食い止めることができなかった。」<EYE 球団責任 厳しく問え>、08年5月27日)
 「巨人・ゴンザレスの行為はファンの信頼を著しくそこねたものというしかない。」という文章で始まる編集委員の3段評論内にあったもの。
 読んで不快感があった。食い止められなかったのは誰か、主語がないからか? 主因は「ドーピング騒動」という表現だ。ドーピングって「御家騒動」と同じ類か? それと「水際で食い止める」って何? ドーピングはBSEや鳥インフルエンザと同類か? 評論家的評論の典型文だ。
 日本プロ野球のドーピング問題を取り上げるのなら、事実を積み上げて切り込んで評論してほしい。国内の野球界は、アマ・プロ問わず課題だらけだろう。朝日新聞も高校野球の主催者をやめてもいいのではないかって、これは本欄の趣旨とは違うことだが。ま、いいか。甲子園の時期には読む紙面が少なくなって、それはそれで助かるから。
 
 ●本日の文例「基礎体温が上昇するのは、このプロゲステロンの働きだ。だから、低温から高温に変化すれば、きちんと排卵されたことになる。周期的に出血がみられる人でも、実は排卵していないというケース、例えば、無排卵周期症という病気などが考えられる。」<元気のひけつ 基礎体温>、08年5月25日)
 今回は段落を取り上げる。本欄に取り上げるかどうか迷う文章の一つに、主語の省略がある。一つの段落内で同じ主語が掛かり続ける場合には、省略もやむを得ないと思うが、あまりに長くなると、読み進むうちに何だっけとなりやすい。なるべく、文として完結してほしい。さて、今回の例はそれとは異なる。
 引っ掛かったのは「周期的に」以下の最後の文章。「周期的」云々は「無排卵周期症」の説明だから、この文章の骨格は「病気が考えられる」。直前の文とつながらず、浮いている。
 おそらく「基礎体温の変化がなければ」という句が抜けたのだと思われる。
 ついでに、「出血がみられる人でも、」「例えば、」の読点は不要だろう。
 「基礎体温が上昇するのは、このプロゲステロンの働きだ。だから、低温から高温に変化すれば、きちんと排卵されたことになる。基礎体温の変化がなければ、周期的に出血がみられる人でも実は排卵していないというケース、例えば無排卵周期症という病気などが考えられる。」
 
 ▼?■!※ 別ページを起こすほどではないが、気になった点を補足する。
 「スー・チーさんにとって重要な時期に議長に会いながら、問題を持ち出すことさえ出来なかったことに、失望する民主化運動関係者は多い。」
 <スー・チー氏解放求めず ミャンマーに国連・潘総長 「今回は目的違う」>という見出しのバンコク発記事の末尾の文章(08年5月25日)。「会いながら」「出来なかった」に対応する主語がないが、見出しや記事から「国連・潘総長」を指していることは読み取れる。だが、この指摘は、見出しと矛盾する「ないものねだり」だろう。
 もう一つ「地元政府に対する被災者の視線は、一段と厳しくなっている。」
 <「死者数うそ」風説広がる 観光地・銀廠溝 政府に不信感>という見出しの成都発記事の末尾文。記事内で「不信感」の例があげられているので、この文は不要。
 いずれも紋切型で読まされる方が迷惑。その字数分、事実を多く伝えるべきだろう。
 
 ●本日の文例「それにしても、今年の流行語大賞は堅いような「後期高齢者」の不評である。」<天声人語>、08年5月21日)
 「堅いような」がどこに掛かるか分からず一瞬戸惑った。「不評である」に掛かるとすると、「流行語大賞は」が浮いてしまう。「今年の流行語大賞は堅い」という句になっているのだと気付くまでに数秒かかった。
 「それにしても、「今年の流行語大賞は堅い」ような「後期高齢者」の不評である。」
 しばらく考えているうちに「堅い」が不適切ではないかと思い至った。確実くらいでいいのではないか。
 「それにしても、今年の流行語大賞は確実視されるような「後期高齢者」の不評である。」
 「大賞は」は「大賞が」の方が分かりやすいか?
 「それにしても、今年の流行語大賞が確実視されるような「後期高齢者」の不評である。」
 
 ●本日の文例「総会は非公開で開かれ、終了後に代田昭久校長が会見した。」<和田中PTA 保護者の会に>、08年5月21日)
 「非公開で開かれ」は明らかに重複でしょう。「総会は非公開で」で十分。
 記事の導入部にも開会報告があるので二重の重複。
 
 ●6/9投稿 本日の文例「東大建築学科卒業で、どこか抜けている菊川のキャラクターを、そのまま生かしたところが特徴。」(<試写室・女教師探偵>、08年5月19日)
 一読して理解できるので、ここで取り上げる文例ではないと思いつつ、面白いので例示する。この記事を書いた人は「菊川さんの友人なんだろうな、きっと」と想像してしまった。菊川さんが「どこか抜けている」って断定してしまうんだから凄い。
 でも、他人から「抜けている」って公然と言われる女優業も辛いかも。
 
 ●6/9投稿 本日の文例「「都内一」の汚名を着せられた文京区の本郷キャンパスから排出される二酸化炭素(CO2)のことだ。都は6月、全国に先駆けて事業所にCO2削減を義務づけるための条例改正を予定し、違反者への罰則も検討している。」<もっと知りたい! 東大、CO2排出「都内一」、08年5月18日)
 珍しく2節分。まず前文から。”「都内一」の汚名を着せられた”のは「文京区」? 「本郷キャンパス」? それとも「二酸化炭素(CO2)」? 正解は「二酸化炭素(CO2)」。
 ”「都内一」の汚名を着せられたのは”と「のは」を付ければOK。
 「「都内一」の汚名を着せられたのは文京区の本郷キャンパスから排出される二酸化炭素(CO2)のことだ。」
 後ろの文は、「全国に先駆けて」が宙ぶらりん。おそらく「予定し」にかかるのだろう。とすると、「都は6月、事業所にCO2削減を義務づけるための条例改正を全国に先駆けて予定し」か。それとも、「都は全国に先駆けて6月、事業所にCO2削減を義務づけるための条例改正を予定し」とする方が記者の言いたいことが表現されるか?
 
 ●6/9投稿 本日の文例「バスケットボール大神雄子(25)の米女子プロWNBA入りが決まった17日、東京都内で合宿中の日本代表の萩原美樹子アシスタントコーチに本人から報告が入った。」<ハーフタイム>、08年5月18日)>
 何の報告だろうと楽しみに読み進めたが、萩原コーチの「代表候補主将」のコメントがあるものの、本人の該当する言葉がない。「WNBA入り」の報告だったのか、気付いたのは記事を全文読んだあとでした。
 「その報告」と書いてあれば余計なことを考えずに済んだのだが。
 
 ●6/9投稿 本日の文例「安全面から通常エスカレーターは何らかの原因で緊急停止してもブレーキがかかる仕組みになっている。」<オーチス社 補強不備か>、08年5月10日)
 一読して、「緊急停止」と「ブレーキ」の重複使用と判断。何度か読み直して、「ブレーキをかけて止まる」のではなく、「止まったら、ブレーキがかかる」ことだと理解できた。語句の配置順も理解しにくさの一因か。
 「エスカレーターは何らかの原因で緊急停止しても安全面から通常ブレーキがかかる仕組みになっている。」
 「緊急停止」という表現が問題か? 舌足らずのような気もする。
 「エスカレーターは何らかの原因で停止した場合、通常ブレーキがかかり停止したままになる仕組みになっている。」
 
 ●6/9投稿 本日の文例「困難な造船法に挑戦したのは、海運の好況で船の注文が相次ぎドックが埋まるなか、受注を逃したくなかったからだ。」<けいざい一話 韓国貫く「ヘバッソ」精神>、08年5月6日)
 「海運の好況で船の注文が相次ぎドックが埋まるなか」に違和感。「が」の連続が原因か? やっぱり2節に分けるのが普通だろう。
 「海運の好況で船の注文が相次ぎ、ドックが埋まるなか」
 
 ●6/9投稿 本日の文例「家計簿で支出管理をする必要性を感じてつけ始めても、たいてい三日坊主になるそうです。」<解消! 家計ストレス>、08年5月3日)
 「を」が連続するので気になった。「支出管理をする」の「を」は不要だろう。
 
 ●6/2投稿 本日の文例「健康寿命を延ばすために!」<広告特集>、08年4月29日)
 「健康寿命」という語に違和感。電子辞書(広辞苑)で調べると、「寿命」は「命のある長さ」とある。つまり、健康でも不健康でも寿命は寿命だ。
 あえて「健康寿命」というのはなぜか? 副題に「生活習慣病に打ち勝つ」とあるから、不健康にならないようにということらしい。つまり、寿命がつきる間際まで健康でいてほしいという願いが表現されているらしい。要するに、「ピンピン・コロリ」を言い換えているのだろう。
 「第72回日本循環器学会総会・学術集会「市民公開講座」紙上採録」と銘打ってあるから、専門家がこういう表題で議論しているのだが、用語に違和感を持たないのだろうか?逆に、「不健康寿命を縮めるために!」という表題は成立するのだろうか?
 「後期高齢者」という用語も専門家にとってはただの区分にすぎないが、それが個人の生活に持ち込まれたときには「差別」になったり、「格差」を生む要因になることは、今回の医療制度「改革」で明らかになった。もっと、考え抜いた用語にすべきだろう。
 
 ●6/2投稿 本日の文例「ボールが回転していないため、日本代表の中村俊輔(セルティック)のFKとは違い、軌道はボールの回転の影響をほとんど受けない。」<日本を救う無回転シュート>、08年4月27日)
 「回転していないため」「回転の影響をほとんど受けない」が骨格だから、同義反復文。しかも「ほとんど」は不正確で余計だ。
 文例に続く文章は次の通り。「ボールが空気中を進むことによってできる乱流の影響を受ける。」
 2つの文に分ける必要はなかった。「ボールが回転していないため、ボールが空気中を進むことによってできる乱流の影響を受ける」で十分。
 この記事は段落(改行の入り方)にも疑問がある。文章のまとまりに重点があるより、記事の長さを意識して書いたような様子だ。
 
 ●6/2投稿 本日の文例「人気商品であるプラズマテレビの生産現場で違法労働が行われていたことに驚く。」(<社説・偽装請負判決 進まぬ正社員化に、喝>、08年4月27日
 「人気商品」の「生産現場で違法労働」があることになぜ「驚く」のか? 読んでいて驚いてしまった。「人気商品」だからこそ、安く・早く提供しようと労働力を流動化してしていると考える方が常識的だろう。「社説」で言うのなら、日本を代表する大企業で相変わらず「違法労働」が大手を振ってまかり通っていることに驚きを表明するのではないか? もしかすると、こっちの方が常態化していて驚きにならないのかも。
 
 ●6/2投稿 本日の文例:「隅田川の橋は江戸時代、千住大橋をはじめに次々と架けられた。」(<隅田川19橋 船で巡る>、08年4月24日)
 一読して意味は分かったが、何か違和感がある文。読点の位置が変か? それと「江戸時代」と名詞で切っているのが原因か?
 助詞の位置を移動し、「隅田川の橋は江戸時代に、千住大橋をはじめ次々と架けられた。」とするのが一案。
 または、語順を換えて、「隅田川の橋は、千住大橋をはじめ江戸時代に次々と架けられた。」とする。
 
 ●6/2投稿 本日の文例「先進国では当たり前の同一労働同一賃金原則があいまいなため、労働への参加を促してもワーキングプア(働く貧困層)を増やす結果になり、働く意欲を失わせている。」(<男女の賃金格差に国際機関「待った」 昭和女子大教授談話>、08年4月23日)
 「先進国では」が「あいまいなため」に係って読めてしまい、「?」となって読み直した。「先進国では」は「当たり前の」に係り、この二つが「同一労働同一賃金原則」に係っていると理解。
 「先進国では当たり前の、同一労働同一賃金原則があいまいなため、」と読点が必要。

 ●6/2投稿 本日の文例:「「大勢の人が部屋に集まる」「温度が低いと人間の免疫力が下がる」といった仮説があるものの真相はわかっていない。」<インフルエンザ、脂肪の防護服>、08年4月4日)
 「大勢の人が部屋に集まる」という仮説って何の仮説? 「真相」って何の真相? 肝心のことを省略したために意味不明の文章になってしまった。その直前の文章は「インフルエンザが冬に流行するのは世界共通で、国立感染症研究所によると、日本では11月下旬〜12月上旬にシーズンが始まって4〜5月に終わる」。
 続けて読んでも文例が何を言いたいのかすぐには判断できない。しばらく考えて、「インフルエンザが冬に流行する原因については」という主語がすっぽり抜けているからだと気付いた。
 
 ●5/26投稿 本日の文例「最近は、買い物は身についた。」<発達障害とともに 下>、08年3月20日)

 「最近は」の「は」は明らかに不要。
 
 ●5/26投稿 本日の文例「自分を思う生徒たちの気持ちに心を動かされた金八(武田鉄矢)は、生徒と闘うことを決意する。」<第2テレビ番組欄・きょうの番組>、08年3月20日)

 一読して仰天。金八と生徒は敵対する関係に変質していたのか? 熱血教育ドラマの大転換か? 時代はそこまで来たか? などとあらぬ妄想をつむぎだしてしまった。で、文章を読み進むと、「B組の担任に戻すよう学校側に要求し、生徒たちと合流して体育館に立てこもる」と続き、真意が明らかになった。「ともに」が欠落していたため誤解してしまった。
 「生徒とともに闘うことを決意する」。
 
 ●5/26投稿 本日の文例:「養殖ができるようになって、熱帯魚を初めて飼う人にも手ごろな入門種になった。」(<日曜ナントカ学2 天然魚は規制強化 主流は養殖に>、08年3月9日)

 「養殖ができるようになって」の「が」は不要。「養殖する」は動詞だから、「養殖できる」でよい。この手の不要助詞の使用は多い。書く・印刷する・読むエネルギーとスペースの無駄。
 
 ●5/19投稿 本日の文例「知事によると現場の広場では闘犬が行われており、500人近い見物客が集まっていた。犠牲者には一般市民のほかに地元警察の高官も含まれているという。」<自爆テロで80人死亡>、08年2月18日)

 「知事によると」はどこまで掛かっているのだろうか? 「闘犬の開催」は知事からの取材で間違いないが、「客が集まっていた」はどうだろうか? 「犠牲者」以下が誰からの伝聞か、この文章からは読み取れない。
 
 ●5/19投稿 本日の文例「最期の時に、人生を清算」<テレビ番組面・試写室>、08年2月9日)
 
 「試写室」の堂々とした見出しにびっくりして、辞書を引いてしまった。広辞苑によれば、「最期」は「いまわのきわ。命の終る時。死にぎわ。臨終」。「最期の時」は意味が重なっているので、「の時」は不要。
 もう一つ。読点も不要。「最期に人生を清算」で十分。

 
 ●5/19投稿 本日の文例「上原はこの日、休日を挟み5日連続のブルペン入り。」スポーツ面、08年2月7日)

 「休日を挟み5日連続」という表現で何を言いたいのか不明。休日を挟んだら連続にはならないだろう。全体練習は休みだったが、個人的に練習したのならそう書くべき。この記者はよっぽどの上原選手ファンと思われる。
 
 ●5/12投稿 本日の文例:「両陣営はすぐに「手打ち」に踏み切ったが、黒人と女性という少数派同士の対立が激しくなるにつれ、米国の底流にある根深い反発が見え隠れし始めた。(<率直さVS.経験 民主党有力2氏を比較>、08年1月19日) 
 
 「黒人と女性という少数派同士」という表現に違和感。女性は少数派でなく、男性と拮抗していると見るのが常識だろう。 念のために、インターネットでアメリカ合衆国の男女別人口を調べたところ、2000年現在で男性1億3800万人・女性1億4300万人で、女性比50.9%。女性の方が多数派だ。黒人比率は12〜13%で明らかに少数派。
  
 ●5/12投稿 本日の文例:「正社員に比べて賃金が低く、雇用も不安定な非正社員の待遇改善を、労組側は要求。」<「格差春闘」労使に溝>、08年1月18日) 
 
 2つの読点が気になった。これらは必要か? 「正社員に比べて」という句は、「賃金が低く」だけでなく「雇用も不安定な」にかかるはずだから、前の読点は不要。後段は、「非正社員の待遇改善を労組側は要求」という文章だから、読点は不要。 従って、「正社員に比べて賃金が低く雇用も不安定な非正社員の待遇改善を労組側は要求。」で理解できる。長すぎて読みにくいという心遣いだとすれば、方向違い。文を書き直したほうが良い。例えば、「雇用が安定せず(正社員に比べ)賃金も低い非正社員の待遇改善を労組側は要求」。(正社員に比べ)は省略しても意味は通じるが、“正社員の賃金も低いのに”という書き手の思いを暗示したいのであれば可。でも、それを言いたければきちんと書いてください。
 
 ●5/12投稿 本日の文例:「46億歳の地球が養う動植物のただ一種が、ここ100年ほどの好き勝手で招いた自然破壊、温暖化。」<天声人語、07年12月31日>) 
 
 主語「ただ一種が」を受ける述語は「招いた」だ。読点の打つ場所が違うため、言葉の掛かり方が不自然になった例。 「46億歳の地球が養う動植物のただ一種がここ100年ほどの好き勝手で招いた、自然破壊、温暖化。」で良い。 





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